
【外国人雇用の法律ポイント完全ガイド】日本人と同じルールで安心!
外国人雇用と労働基準法の基本 ~知っておきたい適用ルール
外国人労働者を採用する際には、どのような法律が適用されるか、ご存知ですか?この記事では、外国人でも日本人でも「労働基準法」などの労働法令が原則同じく守られること、それに関する重要なポイントや、トラブル予防のコツについて詳しく、分かりやすく解説します。
どこまでが守るべき義務なのか、書類や実務対応は何が違うのか、実例とともに高校生レベルで理解できる表現でまとめました。
国籍やビザによらず「労働基準法」は全員に適用
国籍や在留資格に関わらず、日本国内で働く人には労働基準法が適用されます。たとえば、アルバイトとして働く留学生も、永住者も、すべて労働時間、休日、賃金、有給休暇や解雇ルールなど、日本人と同じ法的な保護を受けられます。
「文化が違うから」「言葉が通じないから」などの理由で、特別扱いや十分な説明なしに契約を進めるのはNGです。
また、不当な差別や違法な取り扱いがあると罰則や企業の評判失墜にもつながるため、丁寧な運用が必要です。
均等待遇の義務――差別NG!
労働基準法第3条では、「国籍による賃金や労働条件の差別」を明確に禁じています。たとえば、外国人だけ時給を低くしたり、休憩時間や福利厚生を減らしたりすることは違法です。
就業規則や雇用契約書なども、外国人だからといって不利にしないよう、必ず記載や内容をチェックしましょう。
「労働者」に当てはまる実態とは?適用除外のケース
労働基準法が適用される「労働者」とは、実際に「給与を得て指示に従って働いている人」であり、雇用形態に関係なく判断されます。
たとえば、研修生やアルバイトも「労働者」にあたります。
適用除外になる場合
家事使用人(家政婦さんなど)や、事業主と生計をともにしている同居親族などは、労働基準法の適用外です。
どちらかわからない場合は、契約内容や働き方の実態をもとに判断します。あいまいな場合は労働基準監督署に相談すると安心です。
外国籍経営や海外法人…特殊ケースの判断
日本で働く場合、雇用主が外国の会社や外国人でも、基本的に労働基準法は適用されます。ただし、海外法人で現地雇用されて日本で働かない場合など特殊な例は、適用外となることも。こういった場合は、専門家に必ず相談しましょう。
雇用契約書・労働条件通知書の作成義務
日本で働く場合、雇用契約書や労働条件通知書を作成し、労働者に必ず書面で通知することが義務づけられています。(労働基準法第15条)
労働条件をしっかり説明した上で、契約書を交わしましょう。労働条件通知書や契約書は、日本語だけでなく、必要に応じてわかりやすい外国語で用意すると、誤解やトラブルを防げておすすめです。
多言語化のポイント
多言語で契約書やルールを作成すれば、もらう側も内容をしっかり理解でき、将来のトラブルも避けやすくなります。最低限、「賃金」「労働時間」「休日」などを明確に記載し、両者が同じ認識を持ちましょう。
就業規則と外国語サポート
就業規則(会社のルール集)も、多言語対応が強く推奨されています。外国人スタッフが安心して働けるよう、母国語ガイドや行政の無料翻訳サービスを利用するのも有効です。
必要書類・届け出の基本的な流れ
外国人を雇う際は、労働契約書、労働条件通知書、労働者名簿、賃金台帳、外国人雇用状況届出などが必要です。
書類管理や届出漏れは、行政指導や罰則対象となるため注意しましょう。何をどこまで、どの言語で準備するかをチェックリスト化し、確実に実行することが大切です。
| 項目 | 内容説明 | 取扱いの注意点 | 関連法令 | 管理ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 労働契約締結 | 賃金・時間・休日など明示 | 多言語併記・きちんとサイン | 労働契約法、労働基準法15条 | 契約書保管、署名管理 |
| 労働条件通知書交付 | 労働条件の書面通知 | 母国語・英語文添付も有効 | 労働基準法15条 | 分かりやすさ・翻訳配慮 |
| 外国人雇用状況届出 | 雇用・離職時にハローワークへ届出 | 在留カード内容でしっかり確認 | 雇用対策法、入管法 | 手続き漏れ・期限に注意 |
就労ビザ・在留資格による働き方と企業の責任
外国人を雇用する際は、在留資格・就労ビザの確認が企業側の重要な責任です。資格内容を間違えたり、無許可で働かせたりすると、「知らなかった」では済まされません。しっかり確認して採用・契約を行いましょう。
在留資格ごとの働ける範囲
外国人労働者の在留資格には主に以下のような区分があります。
| 在留資格 | 就労範囲 | 資格外活動許可 | 確認すべき点 | 罰則 | 届出・手続き |
|---|---|---|---|---|---|
| 就労制限なし (永住・定住など) |
業種を問わず就労可 | 不要 | 在留カードで資格確認 | 不法就労助長罪など | 雇用届出 |
| 範囲内就労 (技術・人文知識など) |
資格範囲限定 | 原則禁止 一部許可あり |
契約内容が範囲内か | 資格外就労で罰則有 | 入管/雇用届出 |
| 資格外活動許可 (留学生アルバイトなど) |
週28時間以内 (長期休暇中は日8時間) |
必須・管理必要 | 就労時間徹底管理 | 違反時は罰則 | 許可証コピー保管 |
| 技能実習・特定技能 | 指定職種限定 厳しい管理あり |
原則不可 | 制度規則順守 | 違反時に厳しい処罰 | 監理組合連携 |
在留カードの確認と違法就労防止
在留カードの「資格」「就労可否欄」を雇用前に必ず目でチェックし、不明点は入管や専門家に確認しましょう。週28時間以内制限を超えるアルバイトや、就労資格外で働くことは「不法就労助長罪」等の重い処罰が科されます。
技能実習生・特定技能労働者の取り扱い
技能実習生や特定技能人材には、厳しいルールと管理体制が求められます。監理団体、契約ルール、生活サポートや母語相談窓口の設置が必要なケースも多いです。法律や制度はたびたび改正されるので、最新の情報監視と社内教育が大切です。
労働条件・社会保険の実務ルールまとめ
外国人にも日本人と同じく労働基準法・社会保険が原則適用されます。在留資格ごとに気をつける点や、トラブルを防ぐための実務ポイントを分かりやすくまとめます。
労働時間・休日・残業・有給休暇の基本
労働時間と36協定
原則1日8時間・週40時間が上限です。これを超えて働かせる場合は従業員代表との「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出てください。タイムカードや勤怠システムを利用した管理も必須です。
残業代・深夜割増
時間外労働や深夜勤務には25%以上、休日出勤には35%以上の割増賃金が必要です。言葉や文化の違いから誤解が生じやすいので、給与明細や説明書もできれば多言語対応が安心です。
在留資格による労働時間制限
留学生・家族滞在者等は「資格外活動許可」で週28時間まで等の制限あり。この決まりを超えて働かせると、企業側も重い処罰対象です。必ず在留カードとシフト表で徹底管理しましょう。
賃金と最低賃金・同一労働同一賃金
最低賃金の原則と差別禁止
最低賃金法は国籍・在留資格に関係なく、全員に同じ金額が適用されます。外国人だからといって賃金や昇給を下げることはできません。
「外国人には基本給を下げる」「福利厚生で差を付ける」といったことも厳禁です。
技能実習生・特定技能の場合の注意点
技能実習や特定技能であっても賃金の計算や割増の扱いは日本人と同じです。寮費や食費を差し引いても、手取りが最低賃金を下回らないよう注意してください。
社会保険・労働保険の加入義務
雇用保険・健康保険・年金は原則全員加入
週20時間以上勤務し、31日以上働く予定があれば、外国人も「雇用保険」「健康保険」「厚生年金」に加入しなければなりません。加入手続き時には在留カードやマイナンバーが必要です。
福利厚生と多言語対応
社宅や食事補助などの福利厚生も、外国人に不利な差をつけず平等に提供してください。生活慣習や言葉の壁への配慮として、就業規則や案内書の多言語化・母語サポートも強く推奨されています。
職場の安全衛生・健康管理への取り組み
安全教育とハラスメント対策
職場の安全衛生教育は、外国人にも日本人同様に必須です。わかりやすい絵や多言語のマニュアルを用意しましょう。また、パワハラ・差別を防止する教育や相談窓口を設置し、多文化職場でも安心して働ける環境づくりが大切です。
健康診断の実施とサポート
定期健康診断は、国籍にかかわらず全員対象です。健診案内や問診票を母国語でも配る、やさしい日本語でフォローするなど配慮しましょう。
| 領域 | 労働時間制限 | 賃金保護 | 社会保険 | 安全衛生 |
|---|---|---|---|---|
| すべての労働者 | 1日8時間・週40時間等/36協定必須/資格外活動は28時間等 | 最低賃金/同一労働同一賃金/差別禁止 | 雇用保険・健康保険・厚生年金・労災等 | 安全教育/ハラスメント対策/健康診断多言語案内 |
違反リスクの回避とトラブル防止、相談活用のポイント
外国人雇用における法律違反は、「知らなかった」では通用しません。もし違反が起きると、企業も個人も罰則や社会的信用を失う可能性があります。しっかりルールを守る体制づくりや、必要なときに相談できる窓口を知っておくことが安心雇用への必須条件です。
よくある違反の例と防ぎ方
①労働基準法違反(均等待遇・残業未払いなど)
外国人だけ賃金を下げたり、法定外労働時間で働かせたり、残業代を支払わなかったなどが典型的な違反例です。監督署から是正指導や場合によっては罰金が科されます。36協定や賃金管理を定期点検しましょう。
②入管法違反・不法就労助長罪
資格の確認ミスや制限を超えるアルバイト容認は、企業側にも「犯罪」とみなされます。厳しい処罰(罰金・懲役)や行政指導が行われますので、毎回、資格欄を手元で確認・記録しましょう。
③最低賃金違反・届出遅延
手続きや書類管理ミスで法違反扱いになり、労働局から罰金・改善命令となることも。最低賃金の変更やハローワーク届出の期限を常に意識してください。
| リスク例 | 内容 | 罰則・影響 | 法律 | 防止策 |
|---|---|---|---|---|
| 労働基準法違反 | 労働時間・賃金・待遇差別 | 行政指導・罰金・企業公表 | 労働基準法 | 制度点検・教育徹底 |
| 入管法違反 | 就労資格外勤務・不法就労 | 罰金・懲役・行政処分 | 入管法 | 資格確認・記録管理 |
| 最低賃金違反 届出遅延 |
地域・業種別の賃金・届出不備 | 罰金・改善命令 | 最低賃金法 | 変更・期限管理 |
よくあるトラブル事例とその解決のヒント
契約内容の説明不足・多言語化不足
母国語やわかりやすい日本語で契約内容を説明し、その場で質問・質疑応答の機会を設けましょう。契約書・就業規則の多言語化がトラブル防止の鍵です。
コミュニケーション不足・異文化トラブル
ークスや文化の違いによる誤解がトラブルに直結します。多言語・簡易日本語マニュアルや、異文化研修・ハラスメント予防教育を徹底しましょう。
技能実習・特定技能分野の労務問題
生活・労働条件管理や規則遵守の弱さがトラブルとなりやすいため、監理団体・支援組織との連絡・監督を強化してください。
| トラブル例 | 原因 | 解決アクション |
|---|---|---|
| 契約内容トラブル | 説明不足 | 多言語契約書・質疑対応 |
| 差別・ハラスメント | 文化摩擦・配慮不足 | 教育・相談窓口の設置 |
| 技能実習分野 | 制度管理不足 | 監理団体と連携 |
コンプライアンス体制と相談窓口の利用
雇用管理専任者の設置・研修
各事業所ごとに外国人雇用管理責任者を置き、定期的に研修や制度点検を行いましょう。外国人労務サポートの社外専門家(社労士・行政書士等)との連携も有効です。
DX(IT)ツールによる書類・労働時間管理
多言語対応や自動集計・リマインド機能のあるIT管理システムを活用すれば、人的ミスや属人対応を減らすことができます。
こまめなルール更新と最新法令の確認
年度ごとの法改正やガイドラインの変更をしっかり追いかけ、厚生労働省・入管のHPや専門家相談を活用してください。
困った時の相談窓口・支援サポート
行政・法律相談機関の活用
ハローワーク・労働局・労働基準監督署・自治体の法律相談は、書類や届け出、トラブル発生時などに無料・匿名で利用できます。困ったことがあれば迷わず相談しましょう。
多言語相談ダイヤル・専門家支援
外国人向けの多言語相談窓口やNPO、弁護士・社労士によるサポートも全国に拡大中です。不安や問題が生じたとき、一人で悩まずに外部の専門リソースを活用してください。
相談先をうまく選ぶ・併用する方法
労働トラブル=労働局/就労資格関連=入管/法律問題=弁護士・社労士…と分野ごとに相談相手が異なります。迷ったときは複数の窓口に同時に相談するのもOKです。
ルールを守り、外国人・日本人ともに安全かつ気持ちよく働ける職場づくりを心がけましょう。この記事が、外国人雇用の安心・安全な第一歩になれば幸いです。