【特定活動ビザの就労制限を徹底解説】アルバイトや正社員になるには?
特定活動ビザでできる仕事と制限 〜就労ルールの基礎と実態〜
特定活動ビザの就労ルールや実際にできる仕事、制限について詳しく解説します。

特定活動ビザは「日本で特定の目的の活動をするために、一時的に与えられる在留資格」です。しかし就労に強い制限が付く場合も多く、どこまで働けるかは「指定書」や「在留カード」に記載された内容次第です。この記事では、ビザの仕組みや事例、できること・できないこと、ルール確認方法を分かりやすく説明します。
特定活動ビザの構造と目的
特定活動ビザは、留学生の就職活動やワーキングホリデー、難民申請、インターンなど「定まったビザに当てはまらない特別な目的」がある場合に発行されます。
「就労」できるかはケースごとに異なり、活動範囲は指定書で厳格に決められるのが特徴です。ビザ取得時に「指定書(A4用紙)」が発行され、活動内容や就労可否が明記されています。また、身分証である「在留カード」にも就労制限の情報が載っていますので、両方の書類確認は絶対に必要です。
特定活動ビザのタイプ別・就労制限の違い
特定活動ビザの就労制限は、主に3つに分類されます。
- 法定特定活動: 原則として週28時間以内で就労可能。職種・業界は指定されます。
- 告示特定活動: ワーキングホリデー・インターン制度等。フルタイム勤務が許可される場合もありますが、活動内容が個別に限定されます。
- 告示外特定活動: 基本的に就労不可。どうしても働きたい場合は「資格外活動許可」の取得が必須です。
| ビザの区分 | 就労制限 | 労働時間 | 主な職種・業種 |
|---|---|---|---|
| 法定特定活動 | あり | 週28時間以内 | 指定された範囲 |
| 告示特定活動 | 一部例外あり | ケース別に異なる (フルタイム許可も) |
活動内容ごとに指定 |
| 告示外特定活動 | 不可 (許可が必要) | 特許取得時のみ可 | アルバイト許可例あり |
指定書・在留カードの見方
「指定書」はビザ取得時に発行されるA4サイズの書面で、活動内容や就労の可否・範囲が細かく記載されています。一方、「在留カード」は身分証明書として幅広く使われていますが、裏面に「就労制限欄」や「資格外活動許可欄」があり、そこに「就労可」や「就労不可」・「週28時間以内」などの条件が示されます。
「就労不可」表記があればアルバイトも含めて一切仕事はできません。「この範囲で就労可」なら、内容に従えば働けます。
代表的な特定活動ビザの就労ケース
- ワーキングホリデー: アルバイトやパートタイムが中心。週28時間内が多いものの、国によってはフルタイムもOKの事例あり。
- 就職活動ビザ(卒業後の活動): 原則週28時間以内のアルバイト可。ただし、活動内容や雇用条件により不可の場合も。
- インターンビザ: 受入先・プログラムに沿った範囲内のみ就労可能。実習や研修の内容限定。
いずれも受け入れ先や学校、支援機関などを通じて、必ず「就労範囲」の書面を現物確認することが大切です。
具体的な仕事例と条件
アルバイト/パートの条件
「週28時間以内」と「在留カード・指定書にアルバイト可と記載」されている場合にのみ働けます。
飲食、コンビニ、販売などが定番。風俗営業や一部遊興施設は日本の法律で就労禁止です。
資格外活動許可の取得が必要なケースもあるので、雇用開始時に「許可証のコピー提出」など確実に行うこと。
フルタイム・正社員就労条件
原則フルタイムや正社員は、「告示特定活動」や限られた法定特定活動の場合のみ。それ以外は基本的に不可となります。「インターンの一環」や「技能認定証取得済み」など限られたケース以外、正社員を目指す場合は別の「就労系ビザ」に切り替えましょう。
ビザ制限を無視して就労時間オーバーになると「資格取消」リスクがあります。
派遣・契約・副業など雇用形態の制限
派遣や契約社員、副業は「指定書」の内容によって異なります。ほとんどの場合は「特定の職種・企業に限定」「副業は禁止」などの条件付きです。派遣の場合は雇用契約書の多言語対応が義務になることもありますので必ずチェックしてください。
非正規雇用・副業の可否
アルバイト・パートなどの非正規雇用や副業は、かなり厳しい条件下で例外的に認められるか、不許可です。
重勤や掛け持ち(Wワーク)が可能かどうかは「指定書」と「在留カード」で明確にし、不安な場合は雇用先や専門家へ必ず確認しましょう。
違反した場合は「不法就労助長罪」など厳しい罰則があるので要注意です。
特定活動ビザ「就労制限」の仕組み
特定活動ビザには原則として「就労制限」ルールが付随します。指定と異なる職種で働いたり週28時間オーバーしたりすると資格取り消しや退去、雇用主への強い罰則があります。
就労制限の内容や許可範囲は、常に「指定書」「在留カード」「資格外活動許可証」を現物で確認してください。
もし分からない点や疑問があれば、入国管理局や行政書士、専門相談員へ相談するのが安全です。
特定活動ビザ就労ルールと企業・働く人の実務注意点
特定活動ビザの就労ルールにおける企業と働く人それぞれの視点から注意点を解説しています。

特定活動ビザの就労ルールは複雑ですが、本質を押さえれば正しく働く道筋が見えてきます。「アルバイトがいつでもOK」「企業が雇えば必ず働ける」は間違いです。本当に働けるか・どこまで良いかは「指定書」や「在留カード」の記載内容がすべて。資格外活動許可など例外もあり、働く側も雇う側もルールを確実に守る必要があります。
ここでは見逃せない確認方法や現場での注意点、実務チェックリストを解説します。
指定書・在留カード「就労制限」欄の読み取り方
「指定書」と「在留カード」の両方チェックが必須です。
・指定書…活動内容・雇用先・就労可能時間や範囲まで明示
・在留カード…裏面の「就労制限」「資格外活動許可」欄などに具体的条件あり
「就労不可」や「活動範囲限定」と記載があれば、記載内容外の仕事はNGです。「就労可」「週28時間以内」の記載があれば、その条件内でなら働けます。
雇用主は必ず現物を目視し、コピー保管・原本証明の取得が重要です。不明な場合は必ず専門家に相談しましょう。
| 書類 | 確認要点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 指定書 | 活動内容、就労可能か、許可範囲(企業名、週28時間以内など) | 活動内容と職種ずれも違反。不可なら一切働けない |
| 在留カード | 裏面の「就労制限有無」「資格外活動許可」欄 | 但し書き・期限切れ・許可証有無の見落としに注意 |
週28時間ルールの適用・例外パターン
「週28時間以内」の就労制限は特定活動ビザの多くで採用されています。
この制限を1時間でも越えると即「違反」扱いになるため、勤務記録やシフト管理で合計時間をきちんと管理してください。
一部の「告示特定活動」には例外もありますが、その場合も「指定書」の内容が根拠となりますので、必ず個別に確認・申請しましょう。
資格外活動許可の申請と注意事項
本来働けない人がアルバイトや副業をしたい場合は「資格外活動許可」が絶対に必要です。
許可無しの就労は重い罰則対象。活動予定企業、職種、勤務時間など詳細書類を提出し、入国管理局の審査があります。
一度取得できても、許可の条件違反や未登録副業先があると失効となる場合も。
雇用主は必ず「許可状況の現物確認」、本人も許可内容を定期的に確認してください。
働ける時間・職種が変わる場面・手続き方法
在留資格の役割が変わると、就労条件も自動ではなくなるので注意してください(例:留学→特定活動、卒業→就職活動、内定→就労ビザ変更など)。
進学・退学・転職などがある場合、「指定書」や「在留カード」を新しい内容に更新し、入管への届出・申請を必ず行いましょう。
雇用主視点での実務チェックリスト
- 雇用契約内容に就労制限を明記し、双方で確認・署名を徹底
- 多言語化や翻訳証明、労働契約条件・勤務時間の記載
- 契約内容変更時の説明・再同意
- 外国人社員向け説明資料や社内通訳の用意
- 就労証明の発行・雇用主コンプライアンス意識
- 違反時は雇用主も重い責任を負う点の認識
社会保険・雇用保険・所得税などの注意点
就労時間・契約形態により社会保険や雇用保険、厚生年金加入が義務になります。
週28時間を超えなくても、雇用期間や収入次第で保険対象になる場合あり。雇用主は保険説明や事務対応・源泉徴収を確実に行いましょう。
手続きのための日本語説明/外国人向け案内資料も準備するのが良いでしょう。
違反した場合の罰則と適切な対処 〜トラブル時のリスク管理〜
特定活動ビザの就労制限を違反した場合の罰則やトラブル対策について解説します。

特定活動ビザの就労制限は非常に重要です。 違反すると「知らなかった」「うっかり」は通じません。
ここでは、罰則やトラブル事例、違反が発覚したときの対応策、関連機関の役割など、現場に役立つポイントをまとめます。
代表的な違反内容・罰則と対応策
| 違反内容 | 罰則・リスク | 主な対応先 | リスク回避策 | 違反後の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 週28時間超過 | 資格取消・罰金・就労停止 | 入国管理局、労働局 | 勤務記録管理、指定書現物確認 | 契約見直し、行政への対応 |
| 職種違反・許可外就労 | 資格取消、不法就労助長罪(罰金・懲役) | 入国管理局、警察 | 指定書範囲の徹底、許可申請適正化 | 違反報告・契約解除・再申請 |
| 書類偽造・虚偽申告 | 刑事罰・資格取消 | 入国管理局、公安機関 | 原本確認・怪しい場合の通報 | 関係機関報告・契約解除 |
| 許可なしアルバイト | 資格取消・不法就労助長罪 | 入国管理局 | 申請支援・雇用前書類確認 | 許可申請・契約見直し |
| 雇用契約不備 | 労働法違反・損害賠償 | 労働局、入国管理局 | 多言語契約書・説明徹底 | 契約整備・労働者と相談 |
現場で多いトラブルと予防策
就労範囲・時間の勘違いと防止法
「指定書に“就労可”とあっても職種限定」「複数アルバイトで週28時間を合算せず超過」など現場のミスが目立ちます。
対策は、指定書・在留カード原本管理、電子勤務記録、契約書の範囲明記、多言語説明。本人も勤務記録を残し、迷いがあればすぐ専門窓口へ相談しましょう。
違反発覚時の行政対応と現地のやるべきこと
違反時は「事情説明」や「勤務記録」の提出が求められます。
入国管理局や労働局の調査後、悪質認定で「資格取消」や「指導・罰則」につながります。
通知書が届いたら、すぐ記録・証明書類を整えて面談・提出。事前相談や代理申請には行政書士や登録支援機関の活用も安全です。
組織・支援機関の連携と偽造リスク
監理団体・登録支援機関・行政窓口の役割
強化された監視体制のもと、入国管理局は資格管理、労働局は契約監査、監理団体・登録支援機関は生活や実務支援。どの書類も必ず原本確認を行い、怪しい場合は公的窓口への連絡が自分を守ります。不審な紹介や「ブローカー利用」は決してしないでください。
違反後の再審査対応・再スタートへの道
違反後でも条件付きで雇用継続や再審査が認められる場合がありますが、契約書、就労証明、修正した勤務計画など準備を徹底すること。
契約違反が発覚した際には、速やかに双方で契約解除手続きや行政相談、再教育を行い、新たな支援窓口や再就職支援制度も活用しましょう。
キャリアアップ・在留資格の変更・将来設計の実践ポイント
特定活動ビザ取得者がキャリアアップや在留資格変更を目指すための実践ポイントを解説しています。

特定活動ビザの就労制限下でもキャリアアップや資格変更を目指すことは可能です。転職や正社員化、資格の切り替え・在留期間の延長時には、手続きや必要書類をきちんと把握し、支援制度・相談窓口なども積極的に利用しましょう。
正社員化・転職・キャリアアップの在留資格変更手続き
特定活動ビザから「就労ビザ」へ切り替える場合、必ず在留資格変更許可申請が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など職種条件を満たし、雇用契約書、会社案内、学歴・職歴証明など書類を準備しましょう。
内定や就職決定後の「適合申請」「在籍証明」などにも漏れがないよう、専門家へ早めに相談すると安心です。
就職活動から就労系ビザへの切り替え&注意点
| 主な流れ | ポイント・注意事項 |
|---|---|
| 就職活動 | 「週28時間制限」や証明書(求職活動証明等)に注意 |
| 内定・雇用契約締結 | 雇用契約の詳細書類、形態指定を明確に |
| 在留資格変更許可申請 | 必須書類の不備に注意。審査には業務内容・本人の適正も評価 |
| 審査・結果通知 | 追加資料要求や面談が入る可能性あり |
| 新しい在留カード交付 | 許可が出たらフルタイム就労もOK(指定範囲内のみ) |
フルタイム化・永住申請へ向けた手順
原則、特定活動ビザでフルタイムは不可ですが、在留資格変更(就労系ビザや定住者・永住者)で制限解除が可能です。
技能認定証や「高度外国人材」枠、職種・スキル要件に合えば、正社員化・長期在留・永住申請も可能に。
特に永住申請の場合は雇用実績・安定収入・納税歴・住民票・社会保険加入の証明などが必要。入管から補足資料やヒアリングがあるので、準備を入念に行いましょう。
就労継続・更新申請時の必要書類と審査ポイント
- 主な必要書類:
- パスポート、在留カード
- 指定書・活動内容証明
- 就労証明・雇用契約書・勤務実績
- 資格外活動許可証(該当者)
- 納税証明・住民票
いずれも偽造や虚偽記載NG。不備があれば審査に遅れたり、資格取消の恐れがあります。
- 審査基準:
- 雇用の継続性や正当性
- 週28時間制限遵守
- 収入と生活基盤
- 労働契約条件や雇用主管理の徹底
過去の「就労証明」や実績書類がしっかりしているとスムーズに進みます。
雇用実績証明や求職活動証明の活用
「就業証明」や「求職活動証明」「雇用実績」は審査で重要な信頼材料です。
就業先が発行し、勤務期間・職種・業務内容・週の勤務時間が明瞭に書かれている必要あり。
就職活動証明では応募履歴や面接日程、雇用実績は給与明細・在籍証明となります。
これらを正確に備えておくことが、適法就労の信用証明となります。
生活支援・住宅確保・相談窓口の利用
家賃補助や職業訓練、自治体の生活相談・多言語支援サービスは積極的に利用しましょう。
登録支援機関や行政書士無料相談デー、NPO提供の日本語教室や技能試験対策講座なども役立ちます。
最新の相談窓口や支援先リストを手元に残し、困った時はすぐ相談できる手段を持っておきましょう。